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IDEAS 2004 レポート:セミナー『New Examples of Usability in Action』

写真:左から、ノール氏(女性)、カブロウィッツ氏(男性)、そしてレルトン氏(女性)

2日間を通して、Webアクセシビリティに関するディスカッションでは、幾度となく "ユーザビリティ"、"ユーザー・テスティング"、"ユーザブル" という単語を耳にした。そして、全部で23あったセミナーのうち、唯一そのタイトルに "ユーザビリティ" という言葉の入っているのがこのセッション。スピーカーは以下の3名。

  • モデレーター:ジャニス・ノール氏(連邦調達庁)
  • パネリスト:ジョイ・レルトン氏(全米盲人協会)、マシュー・カプロウィッツ氏(ブリッジ・マルチメディア)

508条では要求されていないユーザビリティ

このセッションのモデレーターは連邦調達庁のジャニス・ノール氏。連邦調達庁のユーザビリティ担当として、連邦政府機関のWebサイト全体をサポートする立場にある。この役職はつい最近できた新しいポジションだそうだ。

「ユーザビリティは、リハビリテーション法508条では規定されていません。しかし、508条に準拠していてアクセシビリティが確保されていたとしても、それだけではユーザーにとっては使いやすくありません。ユーザビリティにも配慮することで、ユーザーエクスペリエンスが向上します。それにより、操作中の誤操作の回数が減りますし、ユーザーが操作方法を学習しやすくなることでWebサイトの複雑さが解消され、その結果としてユーザーはハッピーになります。」(ジャニス・ノール氏)

ユーザビリティの重要性を裏付ける調査結果

ノール氏は、具体的に以下の民間による調査結果の数字を挙げて、ユーザビリティの重要性を解説した。

  • オンライン・ショッピングをしようとする人の62%が商品を探し出すのをあきらめた
  • ユーザーが容易にコンテンツを探せないことによるオンライン売上の損失は50%に達する
  • リピーターの40%はサイトの使いにくさが原因で二度とそのサイトを訪れない
  • ユーザーの85%は新しいサイトをそのお粗末なデザインが理由で見捨てる
  • ユーザビリティの基本原則に沿っているサイトは51%のみである

さらに、2003年のフォレスター社による125サイトの調査結果もあわせて紹介した。

  • 78%のサイトが適切な検索結果を提供できなかった
  • 66%のサイトがHOMEページでサイト全体の概要を伝えきれていなかった
  • 64%のサイトがページレイアウトにおいてスペースを無駄にしていた
  • 54%のサイトがアクセシブルではなかった
  • 50%のサイトはテキストの文字が読みにくかった

ユーザーテストを実践してリニューアルした成果

また、ノール氏は自身の関わったプロジェクトとして、米国保健社会福祉省Webサイトのリニューアル案件を事例として紹介した。

「リニューアル前のサイトとリニューアル後のサイトで、全く同じ5つのタスクによるユーザーテストを実施しました。その結果、リニューアル前のサイトではユーザーのタスク達成率が41%だったのに対して、リニューアル後のサイトでは92%と劇的に向上したのです。中には、13%から94%に、8%から88%にと大幅に改善されたタスクもありました。これはリニューアル前のサイトでユーザーテストを実施した際に明らかになった問題点を丁寧に改善した結果だと思います。」(ジャニス・ノール氏)

そして、Webサイトによく見られる問題点の代表例として、アイコン画像のみによるナビゲーション(リンク)を挙げて解説。イラストや写真をメタファーとして使用する際には、それだけでは連想するコンテンツが人によって異なる。実際にノール氏がサンプルを見せながら何を連想するかを質問すると、会場の参加者からは意図した通りの答えは返ってこなかった。アイコンで視覚的にも分かりやすく伝えるのはよいことだが、リンクのラベルとなるテキストも必ず付けるようにとアドバイスした。

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