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IDEAS 2004 レポート:ケン・ナカタ氏インタビュー

ケン・ナカタ氏(以下、敬称略)の前職は、米国司法省。主に政府機関におけるインターネット関連分野でのADA およびリハビリテーション法508条への準拠を担当し、昨年の『IDEAS 2003』には政府関係者としてスピーカーをつとめていた。2001年には、大統領および議会へ提出する行政機関の508条準拠に関する報告書の作成も担当。弁護士の資格と同時にJavaプログラマーの資格も持つというユニークなキャリアの日系米国人だ。現在は、民間のコンサルティング会社に在籍し、行政機関や民間企業をクライアントに活躍する障害者関連法規の専門家である。(聞き手:インフォアクシア)

米国の政府機関サイトが抱える課題

米国の連邦政府機関のWebサイトが直面している当面の最大の課題は何だと思われますか?

ナカタ「いろいろな方たちの意見を総合すると、PDFファイルに関する問題が最も大きな問題のようです。」

つい最近の訴訟が米国企業に与えるインパクト

米国では過去にWebサイトに関してADA(Americans with Disabilities Act)に関連する訴訟が何件か出ていますね。

ナカタ「その通りです。AOLやサウスウエスト航空などの訴訟問題がありましたが、つい最近ニューヨーク州の検事局が下したトラベルサイトの Ramada.com と Priceline.com に対する調停のインパクトがありましたね。何故なら、サウスウエスト航空の訴訟では、Webサイトは A.D.A. の対象外だという解釈がされたのですが、今回は対象になるという全く正反対の解釈がなされたからです。ご存知のように、米国は訴訟社会ですから、企業はこういった訴訟には敏感です。この訴訟がなかったとしても、米国の企業はアクセシビリティに対する関心を持っていたと思いますが、今回の調停結果により企業サイトでの取り組みが加速する可能性は大いにあるでしょうね。」

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米国企業に法律で強制するのは両刃の剣?

そういえば、やはり最近の話ですが、AOLが経営陣からのトップダウンでWebアクセシビリティの新しいポリシーを策定したそうです。これまでは開発工程の最後にあたる品質管理プロセスの中に組み込まれていたために、アクセシビリティのポリシーは形骸化していたそうなのですが、これによって本当の意味での取り組みに着手できる体制が整えられそうです。

ナカタ「企業の多くは、Webサイトに限らず製品の開発工程において同様の問題を抱えていると言えますね。製品開発サイクルは長期間に及んでいますし、法律で単にそれを今すぐ変えるように要求するだけでは、結果的にアクセシビリティの向上にはつながらないという皮肉な結果を招いてしまいかねません。」

米国企業のWebサイトでアクセシビリティの向上に尽力している事例をご存知ですか?

ナカタ「まだそんなに数はないかもしれませんが、幾つかそういった事例の話を耳にすることはありますよ。そういった企業のほとんどは対外的にそういったアピールをしないので、あまり具体的な名前が挙がってこないというのが現状だと思います。先ほどの話に戻ってしまいますが、訴訟問題が起きたことでより多くの企業がその重要性に気づいたのではないでしょうか。」

アクセシビリティは国際的な協調が大切

日本ではJISが今年の6月に制定されました。米国の508条のような法律ではないのですが、障害者だけでなく高齢者も想定しているのが大きな違いです。

ナカタ「高齢者に関しては、まだ日本ほど大きな話題にはなってきていませんね。米国も高齢者人口は増えてきていますから、日本の事例は米国にとってはよいお手本となるはずです。人口の高齢化は、ここ米国でも関心が高まってきていることは確かです。」

ナカタさんはこれまでもアクセシビリティの法規や標準規格の国際的な協調に貢献してこられましたよね。

ナカタ「2週間後にはニューヨークで日本のある財団のシンポジウムで登壇する予定です。IT分野のアクセシビリティに関して、米国と日本との協調や今後の展望についてディスカッションにお招きいただいています。是非日本のJISとは協調していきたいと考えています。」

お忙しいところ、どうもありがとうございました。

ナカタ「どういたしまして。こちらこそありがとうございました。」

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