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IDEAS 2004 レポート:デブラ・ルー氏インタビュー

写真:テック・アクセスのデブラ・ルー氏(女性)と聞き手であるインフォアクシアの植木

デブラ・ルー氏(以下、敬称略)は、ヴァージニア州に本拠を置くテック・アクセスの創業者だ。同社は、IT分野のアクセシビリティに関するコンサルティングを行っており、約40名の社員の多くはさまざまな障害を持っており、当事者ユーザーの立場での検証を得意としている。その顧客は、508条への準拠を義務付けられている連邦政府機関から民間企業まで幅広い。(聞き手:インフォアクシア)

障害者自らが検証を行うコンサルティング

テックアクセスはIT分野全般におけるコンサルティングを行っておられるんですね。

ルー「そうです。Webサイト、ソフトウェア、ハードウェア、そしてeラーニングなどについて、弊社のスタッフが診断してレポートをまとめ、どのように修正すればよいかといったアドバイスを行っています。弊社の特色は、スタッフの多くが何らかの障害を持っており、あらゆる障害を持つ当事者ユーザーの立場で専門家としての診断ができることです。」

米国のあるオンライン・バンキングの事例

御社のクライアントは、連邦政府機関に限らず民間企業も多いようですが、米国の企業サイトにおけるアクセシビリティの取り組みはいかがですか?

ルー「まだこれからだと思いますが、それでも積極的に取り組む企業も出てきていますよ。例えば、Wachovia という銀行があるのですが、そのオンライン・バンキングの機能の検証をしたことがあります。Bobby、LIFT、Ramp といったアクセシビリティのチェックツールを使うのはいいことなのですが、それだけでは十分ではありません。彼らもそうだったのですが、まだ実際に障害者ユーザーによる検証を行っていなかったのです。そこで弊社に依頼があり、レポートをまとめました。」

そういえば、この IDEAS 2004 のセミナーでも、ユーザーによる検証の重要性が指摘されていましたね。

ルー「米国には A.D.A.(Americans with Disabilities Act) という障害者差別を禁ずる法律があるのですが、2000年に Bank of America という銀行が、ATM がアクセシブルではないということで訴訟問題になったことがあります。ATM の改善には巨額のコストがかかり、また訴訟沙汰になったことから悪評が立つ、という同銀行にとっては散々な結果になりました。それを契機として、銀行業界ではアクセシビリティに取り組むところが増えたと思います。Wachovia もその一例ですね。」

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ビジネス戦略的な視点からのアクセシビリティ導入事例もある

なるほど。訴訟社会の米国らしいケースとも言えますね。

ルー「少し違うケースをご紹介しましょう。Circuit City Stores というパソコンやカメラを取り扱う大型量販店があります。ちょうど有名な WAL-MART のような大型スーパーのようなチェーンです。しかし、同じ業態では BEST BUY という競合相手がいて、リアルな実店舗の売上では圧倒的な差をつけられていたのです。そこで、彼らは打開策を考えました。そして、オンライン・ショッピングサイトに目をつけたのです。つまり、実店舗ではかなわないがオンラインでは逆に圧倒してやろうと考えたわけです。100万ページを超える大規模なショッピングサイトですが、競合相手との差別化というビジネス戦略的な視点からアクセシビリティに取り組んだという興味深い事例です。」

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日本でも企業サイトではそういったケースが見られます。こういう事例がもっと沢山出てくるといいですよね。

ルー「つい先日、ベルギーのブリュッセルで開催された国際会議で、日本のJIS関係者とお会いする機会がありました。これからは国際的な協調というのもアクセシビリティをさらに普及させていく上では必要不可欠なものと考えています。是非、これからも情報交換していきましょう。」

はい、こちらこそよろしくお願いします。今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

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